2025年度日商簿記検定試験受験者数

 2025年度の日商簿記検定試験の受験者数を集計し、過去の受験者数と比較してみました。

 私は、会計・税務人財養成推進協議会として、2017年に「会計・税務人財育成に関する提案書~「会計離れ」を超えて~」を公表し、「会計離れ」に対する危機感を持ちました。2016年から学生たちの研究発表大会「アカウンティングコンペティション」を主催するようになったのも、「会計離れ」がきっかけです。しかし、その後、公認会計士試験、税理士試験、そして日商簿記検定試験も受験者が増加して、現在に至っています。

 2025年度の受験者数は、1級20,134人、2級158,825人(ネット試験を含む)、3級329,200人で、のべ508,159人が受験しました。この受験者数を見る限り、いわゆる「会計離れ」は完全に解消されたと言っても良いでしょう。

 一方で、気になる点は、相変わらず1級の受験者は、増加傾向にはあるものの回復したとは言い難い状況です。会計基準の高度化により、ますます1級合格者の市場価値は増加していると考えますが、以前の水準には戻っていません。さらには、2026年12月の公認会計士短答式試験から、財務諸表論、管理会計論の一部問題が英語で出題されることとなり、「会計離れ」が始まったきっかけは、公認会計士試験の試験制度改定でしたので、今後の動向を注目しています。

 また、上記の表には記載していませんが、ネット試験と対面試験の合格率の差も気になります。2025年度の場合、3級はネット試験40.8%、対面試験37.0%、2級はネット試験32.9%、対面試験20.3%です。受験者の間では、ネット試験の方が合格が容易であるいう認識が定着しています。
 ネット試験導入前の2010年度から2019年度の10年間の平均合格率を見てみると、3級42.2%、2級27.2%、1級10.4%です。2025年度は、ネット試験を含んで3級40.1%、2級31.4%、1級14.6%です。3級はやや低下、2級、1級は上昇しています。昨今、1級の合格率が上昇傾向にあり、受験者を増やすため、難易度を下げている可能性も否定できません。

 簿記初級、原価計算初級は、中途半端な試験になっています。2025年度の簿記初級受験者は3,978名、原価計算初級受験者は1,424名に止まっています。就職活動においても、初級合格は価値があるとは言えませんので、位置付けの見直しが必要かもしれません。

 日商簿記検定試験は、商工会議所の努力により、受験者が増加したことは喜ばしいことです。会計は「経営のルール」であり、AI時代において、会計の日常業務(会計の仕事)は効率化されていきますが、会計がなくなるわけではありません。ぜひ多くの人に会計を学修して欲しいと思います。