経営シミュレーションゲーム

 私(川野克典)は、経営シミュレーションゲームを活用し、大学授業や企業研修を行っています。

戦略MGマネジメントゲーム

 日本大学商学部のゼミナール、会計実践演習の授業内で、戦略MG研究所が販売している戦略MGマネジメントゲームの製造業版を活用しています。

 戦略MGマネジメントゲームは、1976年に西順一郎氏らが、従業員教育を目的としてソニー 人材開発室を母体に創業したキャリア・デベロップメント・インターナショナルで開発したボード型経営シミュレーションゲームです。現在では、戦略MG研究所は「戦略MGマネジメントゲーム」、その他に「マネジメントゲームMG」、「MQ戦略ゲーム」と呼ばれています。
 戦略MGマネジメントゲームの製造業版は、1名が社長として、製品の製造販売あるいは販売を行い、その取引を帳簿に記帳して、財務諸表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュ・フロー計算書)にまとめます。財務会計のみならず、管理会計・原価計算の要素を取り入れている点が特徴です。
 ルールは、初級者向けのジュニアルールと中上級者向けのシニアルールがあり、製造業版、流通業版の基本版のみならず、飲食業や理容室、美容室、農業経営等の戦略MGマネジメントゲームも開発されています。管理会計・原価計算としては、直接原価計算、損益分岐点分析を取り入れている点が最大の特徴です。

【戦略MGマネジメントゲーム グループ経営版の開発】
 私は、戦略MGマネジメントゲームのグループ経営版を開発しています。このゲームでグループ経営と連結決算を学ぶことができます。グループ経営版では、企業グループを作り、企業グループ間で競争します。



グループ経営版の特徴
①グループ経営版専用用紙を除いて、戦略MGマネジメントゲームの製造業版のゲーム盤が3台以上あれば、新たにゲーム盤、チップ等の機材を購入する必要がないようにして、導入コストを抑えています。
②ルールも製造業版、ジュニアルールの延長線上に位置付けています。グループ経営版は、製造業版の上に成り立つ追加ルールです。
③製造業版の考え方を継承し、細かな連結決算処理を学修するのではなく、グループ経営を学修するツールとして、マニアックな連結調整の会計処理は行っていません。
④Excelを用いて連結調整は自動化しています。
⑤製造業版とグループ経営版を同時に実施できる仕組みとしています。
⑥昨今のグループ経営に欠くことのできないM&A(企業買収)、グループのシナジー(相乗効果)をルールに取り入れています。
⑦グループ経営版との最大の違いとして、グループ経営版は、個人戦ではなく、チーム(グループ)として、利益を最大化する意思決定が求められます。

【戦略MGマネジメントゲーム バランス会計MFLACの開発】
 MFLACは、バランス会計を目指した経営管理手法で、Money-Focused Lucrative Accounting (資金重視の儲かる会計)、Marginal Profit、Fixed Cost、Liability、Asset、Cash(限界利益、固定費、負債、資産、資金)の頭文字をとり、戦略MGマネジメントゲームで採用している損益計算書の分析手法STRACと語呂合わせして命名しました。


MFLACの特徴
 MFLACの特徴は、MFLACで管理する業績評価指標は5指標のみに厳選したこと、バランスを表現するために、レーダーチャートを用いたこと、総合的な評価点数を算出できることです。業績評価指標については、貸借対照表重視、キャッシュ・フロー重視の観点から、最適な業績評価指標の組み合わせのシミュレーションを繰り返して、限界利益率、損益分岐点比率、有利子負債対キャッシュ・フロー比率、総資産回転率、運転資金比率の5つの指標を厳選しています。会計の初心者でもわかりやすい管理会計手法とするため、5つの業績評価指標をレーダーチャートで表現し、視覚的にも全体のバランスが分かるようにしています。実務に適用できる点はもちろんのこと、戦略MGマネジメントゲームの中で、MFLACを用いたバランス会計を学修できるようにしています。

注)グループ経営版とMLFACについては、「バランス会計 MFLACとグループ経営版の開発について」『戦略MG教育研究』第2号を参照してください。
注)戦略MGマネジメントゲームは、株式会社戦略MG研究所の登録商標です。

BG21 improved by KK

 BG21 improved by KKは、野々山隆幸先生、高橋司先生、柳田義継先生、成川忠之先生が開発したExcelを使ったBG21の大幅改良版です。野々山先生らによるオリジナルのBG21開発のコンセプトは、実践的経営学教育ツール、シンプル、オープン&拡張性であり、経営学の教育として効果が期待できるゲームですが、会計学を含めた教育として活用するためには、ルールの難易度、ゲームの機能が高いとは言えず、提供される会計情報も不足していました。
 一方で、野々山先生らは、オープンなソフトウェアとして、機能を追加開発することを妨げていません。そこで、私(川野克典)はBG21を改造し、会計学教育でも十分に活用できることを目標にBG21 improved by KKを開発しました。なお、戦略MGマネジメントゲームが製造業であるのに対して、BG21 improved by KKは小売業版です。

BG21 improved by KKの主たる改良点
①最新の会計基準に準拠すること。
②BG21に対して、意思決定項目(借入金、採用、設備投資)を増やすこと。
③BG21に対して、ルールを高度化し、より企業経営に近づけること。
④提供される会計情報を充実させ、会計情報を次期の意思決定に結び付けることができること。
⑤遠隔授業にも対応とすること。
⑥業績シミュレーション(予算編成)、差異分析(予算実績差異分析)機能を有すること。
➆会社数を4社から5社に増加させたこと。

注)オリジナルのBG21については、「ビジネスゲーム演習―意思決定能力・データ分析能力・プレゼンテーション能力を育てる」を参照してください。
注)BG21 improved by KKの詳細については、「遠隔方式による経営シミュレーションゲーム授業」公益社団法人私立大学情報教育協会2022年度ICT 利用による教育改善研究発表会資料を参照してください。報告時点ではBG21 improved by KK Version5.1でしたが、最新版はVersion6.01です。